前2回まで、国の国語力強化に関する下記の5つの法律や各種審議会の答申について紹介をしてきた。すなわち、
1.文化審議会答申「これからの時代に求められる国語力について」(04/02/03)
2.中教審答申「新しい時代における教養教育の在り方について」(02/02/21)
3.文化審議会答申「文化を大切にする社会の構築について~一人一人が心豊かに生きる社会を目指して」 (2002/04/24)
4.「子どもの読書活動の推進に関する法律」(01/12/12)
5.指導要領(文部省告示 98/12/14)
である。
これらを踏まえて、それらの法律や各種審議会の答申の規定や提言の問題点と有効性の検証を行う予定にしていたが、最近になって「文字・活字文化振興法」の成立を目指すという国語力に関係する珍しい動きが表面化してきたので、このことを急遽取上げることにした。
なぜなら、
第1に、この法案が「活字文化議員連盟」という超党派の議員集団から提起されたものであること(「子どもの読書活動の推進に関する法律」と同じく議員立法である。ゆえに、文科省ではなく内閣法制局の下で検討されることになる)
第2に、その背景に日本の子どもたちの国語力が低下しているという危機感があるらしいこと
第3に、対象が子どもだけでなく大人をも含むものであること
第4に、しかも、対象が読者側だけでなく、読書活動をもう一方から支える著者や出版界サイドについても活字文化振興のための環境整備を図ろうとしていること、
さらに、ただし、著作物の再販売価格維持制度の存続を目的とする出版会社と活字文化振興というやや泥臭い側面のあることも指摘しておきたかったからである