前回では、文科省が最近答申という形で発表した「国語」に関する資料(「これからの時代に求められる国語力について」・「新しい時代における教養教育の在り方について」・「文化を大切にする社会の構築について~一人一人が心豊かに生きる社会を目指して」)を手がかりに、国が考えている国語の重要性と国語力についてまとめてみた。
そこで、今回は、国はその国語力をどのようにして児童や生徒・学生たちに身に付けさせることができると考えているのかを、文化審議会答申 (04/02/03)「これからの時代に求められる国語力について」の後半部分から探ることにする。
【資料 2-0-1】
これからの時代に求められる国語力を身に付けるための方策について
国語力の向上という課題は、基本的には一人一人の個人的な課題であるので、それを達成するためには、何よりも国語の重要性が認識され、国語を大切にしようという意識が国民の間に共有されることが必要である。
このような認識に立った上で、今後、行政が中心となって取り組むべき方策として、特に「国語教育の在り方」」と「読書活動の在り方」という二つの課題が極めて重要であると考えた。
これは、国語力の向上に「国語教育」と「読書活動」が最も有効な手段であり、「望ましい国語力の具体的な目安」として提示した「聞く力・話す力・読む力・書く力」のそれぞれの目標を達成するために欠かせないものだからである。
いうまでもなく「国語教育」と「読書活動」とは密接に関連している。この点を踏まえて、[自ら本に手を伸ばす子どもを育てる]ことを両者の共通の目標として検討を進めてきた。
以下、「国語力を身に付けるための国語教育の在り方」と「国語力を身に付けるための読書活動の在り方」に分けて、その考え方を具体的に示すこととする。
国語力の向上には「国語教育」と「読書活動」が最も有効な手段である、という前提で始まっているが、はたしてそのように言い切れるものかは疑問である。具体的な検証がなされていないからである。とはいえ、教科として国語がある以上、それの充実によって国語力の向上を図るのは当然のことである。問題は、それをどれだけ周辺にまで拡大していけるか、つまり、社会全体の課題としてとらえられるようにできるかである。