~京葉学舎からのメッセージ 2007~
「学力」ってなんだろう???
「学力」=偏差値?
皆さんは、学力とはどのようなものだとお考えですか。一般的には、学力=成績=通知表の評価(内申)とお考えの方が多いのではと思います。では成績とはなんでしょうか。小学校での単元テストの点数であったり、中学生ともなれば定期テストの得点と順位、それに受験生にはテスト業者がはじきだす偏差値が加わるのではないでしょうか。
目立つ不公平
ところが、先ごろ千葉県教育委員会は、各中学校から提出され公立高校入試において重要な比重を占める「調査書」点(いわゆる内申点。9教科・3学年の合計で最大135点満点)を、各中学校間の格差があまりにもあり過ぎる(つまり、受験生がどの中学校に属するかによって最大で27点もの差が生じ、入試の公平性を害する)として、各中学校から出された調査書点を「X+α―m」という換算式で修正する、と発表しまた。
確かに、絶対評価になってから、5や4が全体の半分近くを占めるという中学校が見受けられるようになり、そうでない中学校との間での高校入試における不公平さが目立つようになってきていました。
二極化と学力格差の拡大へ
以上のことからわかってきたことは、学校の成績や通知表の数値が本当の学力を表したものではないということです。と同時に、あまり気づかれていない現象が加わります。それは、学力の2極化といわれるものです。学校内で学力上位のグループと下位グループの差がますます開きつつあることをいいます。学年が上がるに従ってこの傾向は強まります。そして、最近目立つのが上位のグループ内での格差の拡大です。もちろん、下位グループ内での格差も広がっています。3極ないし4極に学力が分解し、下から上へ這い上がることができないほどになっているのです
とっても恐ろしい「ごまかし勉強」システム
さらに問題なのは、成績上位にいる生徒の学力が本当の意味での学力でないという事実です。何故そうなったかを私たちは以前から強く訴えてきましたが、いま学力低下問題が声高に叫ばれているのを機に、再度考えてみようと思います。
高得点のからくり
中学校では、定期テストが4回行われます(前期・後期の2学期制)。問題はその定期テストにあります。先ずは範囲表が配られます。その範囲を集中的かつ確実に勉強していれば90点台がとれます。しかし、実際はその狭い範囲がさらに出題されそうな箇所を暗示したプリント(授業中使用した4~5枚)やここから出題すると宣言された漢字プリントなどによってさらに範囲が狭められているのです。このような範囲限定、ヒント多数の問題では、真面目で要領の良い生徒は高得点を取ることができます。
学力低下助長システム
もちろん、高得点を取る生徒のそれだけの努力は評価できます。問題はこれから先です。このような学校の甘さをさらに塾で業者の教科書準拠教材をやらせて、これでもかこれでもかと至れり尽くせりの上塗りをし、そうして子供が高い点をとったことに親も安心しているという「ごまかし勉強」サイクル→学力低下助長システムができあがっているのです。このことは、高校へ行っても変わりません。一流大学入試も定期テストの結果だけで推薦入学できるのです。このようにして、学校→塾・予備校→教材業者→家庭というサイクルができあがっているのです。これが学力低下の重要な一因となっていることは間違いありません。
なお、次の本をぜひお読みください。藤澤伸介著『ごまかし勉強』上・下:新曜社刊