【第二章】2.国語力を身に付けるための読書活動の在り方

2004-02-10

【資料 2-2-1】

1.読書活動についての基本的な認識

『読書は,人類が獲得した文化である。読書により我々は,楽しく,知識が付き,ものを考えることができる。また,あらゆる分野が用意され,簡単に享受でき,しかもそれほど費用が掛からないという特色を有する。読書習慣を身に付けることは,国語力を向上させるばかりでなく,一生の財産として生きる力ともなり,楽しみの基ともなるものである。

国語力との関係でも,読書は,国語力を構成している「考える力」「感じる力」「想像する力」「表す力」「国語の知識等」のいずれにもかかわり,これらの力を育てる上で中核となるものである。特に,すべての活動の基盤ともなる「教養・価値観・感性等」を生涯を通じて身に付けていくために極めて重要なものである。』

 

 読書の目的というよりは、読書の効用といったほうがよいだろう。読書をめぐっては「なぜ本を読むのか」という根本的な問いが存在するが、ここでは国語力をつけるのに読書は欠かせない重要な働きをする、と明確に位置づけている。

 

【資料 2-2-2】
2.学校における読書活動推進の具体的な取り組み
(1)学校図書館の計画的な整備
<学校図書館図書標準を確実に達成する>
学校図書館図書標準が平成5年に定められて既に10年が経過している。それにもかかわらず,その達成率は3割台にすぎないというのが実情である。まず,この学校図書館図書標準を確実に達成することが何よりも大切なことである。
<学校図書館における「図書の整備」を進める>
学校の自己点検や評価項目の一つに,学校図書館の「図書の整備状況」等を盛り込むなど,学校や地域で図書が適切に整備されているかどうかを保護者の協力を得て明らかにし,評価していく必要がある。
<学校図書館に「人がいる」ことが大切>

 

 

学校図書館図書標準を確実に達成するべきだ、という文言はこの答申の中で最も重要な提言であると思う。国が決めた基準を国が守っていないことへの不満が滲み出ているように思われる。
また、学校図書館の「図書の整備状況」等を学校の自己点検や評価項目の一つに加えて、学校や地域で図書が適切に整備されているかどうかを保護者の協力を得て明らかにし,評価していく必要があると述べているが、説得力がある。
さらに、学校図書館に常に人がいる体制を作ることが大切と述べているのも、当然のことである。にもかかわらず、司書教諭という授業と兼任する制度を導入していることは、全く納得できない。学校図書館司書という専任を配置する体制を作るべきである。

 

【資料 2-2-3】
(2)学校における「読書」の位置づけ
<すべての教科で「読書活動」に取り組む>
現在,読書活動については,一般に「国語科」の中で行われるものと認識されている。しかし,読書活動は,一教科の中だけで取り組むものではなく,すべての教科にわたって全校を挙げて取り組むものとして明確に位置付けられるべきである。その意味では,学習指導要領などとの関係についても再検討することが必要なのではないかと考えられる。
<「読書指導」の充実を考える>
中学生や高校生の「読書離れ」の背景には,彼らに一般向けの本を読むことのできる力が十分身に付いていないこともあるのではないか。読書という活動の特質から,自主性・自発性の尊重が重要ではあるが,学校教育の中で適切に指導することは必要である。

 

読書は自ずから自然に体得できるものではなく、一定の訓練が必要である。その意味からしても、すべての教科にわたって全校を挙げて取り組むものとして学習指導要領などで明確に位置付けられるべきである、というのは思い切った提言であるように思われる。

 

【資料 2-2-4】
(3)望ましい「読書指導」の在り方
<子供たちの「読書意欲」を高める>
学校では,個々の子供たちの状況に応じたきめ細かな読書指導を行っていくべきである。
読書指導においては,子供と本との橋渡しをする教員の役割が極めて大切であり,教員の読書指導の質が問われることになる。読書指導における教員の姿勢は重要で,「本を読まない教員は求められていない」と言うこともできる。
<家庭と連携した「読書指導」を考える>
教員が子供の読書状況を正確に把握した「きめ細かい読書指導」を行い,さらに,学校と家庭との意思疎通を図る工夫が必要である。

 

個々の子供たちの状況に応じたきめ細かな読書指導を行っていくべきであり、また、読書指導における教員の姿勢は重要で,「本を読まない教員は求められていない」と言うこともできると述べているのは、教員の読書に対する姿勢のお寒い現状を真正面から突いたもので評価できるのではないだろうか。
また、家庭と連携した「読書指導」の必要性も同感だ。

 

【資料 2-2-5】
(4)子どもたちが読む本の質的・量的な充実
<教科書などの内容を見直す>
学校教育で使われている現行の教科書等が子供たちの読みたいという気持ちに十分こたえているのか,また,教科書等に現在収録されている分量・内容で,一般向けの本が読めるようになるのかといった問題点が指摘されている。
<関係団体との連携・協力を進める>
『読書活動の推進運動を展開していくために,関係団体との連携・協力の下,出版社や作家・著述家などの関係者への働き掛けも進めていくべきであろう。』

 

現行の国語の教科書の薄さは大いに気になるところであるが、同時に逐条的読解も問題である。とにかく1冊丸ごと読破するという経験をこそさせるべきだろう。副読本として読み物を大いに与えるべきである。

 

【資料 2-2-6】
3.家庭や社会における読書推進活動の具体的な取り組み
(1)家庭や地域社会における読書活動の支援
<子供への「読み聞かせ」を重視する>
<情報交換や情報の共有化を図ることが大切>
<社会教育の観点が必要>
『今後は学校教育の中だけで読書活動を推進するのではなく,社会教育の観点が必要になると予想される。また,「学校や図書館」と「地域」とが結び付いた活動の場作りが重要であり,さらに学校図書館と公立図書館との連携など,それぞれの機関が有機的に連携・協力できるような取組を進めていくことが必要である。』

 

教科としての国語という側面を重視すれば学校教育の範囲となるが、読書という観点から考えれば社会教育の観点も必要となるのは当然である。

 

【資料 2-2-7】
(2)読書環境にかかわる情報の公開
<情報を公開することが大切>
一般の公立図書館についても,図書の整備は進みつつあるが,まだ,かなりの町村では進んでおらず,その蔵書も地域住民の要求に十分にこたえられるほどには整っていないところがあるという状況である。地域ごとの図書館整備への取組については大きな格差が認められるが,なかなかその現状が住民に伝わっていない状況にある。
以上のことから,国や地方公共団体が読書環境の整備の現状を知らせるために,データを整備し,積極的に情報を公開することが求められる。
<数値目標を示すことが重要>
地方公共団体では,現在「子ども読書活動推進計画」を策定しているところであり,学校図書館や公共図書館の整備や連携,図書館を核にした読書活動の推進などが盛り込まれている。各団体が責任を持って策定した計画を実行に移していくことが望まれるが,策定する計画においては,抽象的な目標ではなく,数値目標を示して住民や保護者等の評価を受けることが望ましい。
このような点を踏まえると,地方公共団体で,具体的な目標を伴った推進計画を策定するとともに,その計画を中心として読書環境の整備に向けて,具体的にどのように取り組んでいるかについての情報を明らかにしていくことが求められる。情報が公開されることによって,住民や保護者等が,地方公共団体の取組に対し,関心を高め,評価し,働き掛けていくことになり,首長や校長などリーダーの「読書に対する意識」を高めることにもつながっていくものである。

 

この「読書環境にかかわる情報の公開」の部分は、最近の市民運動や学校開放(例えば、学校評議会の設置など)の影響を受けたものであろう。
すなわち、国や地方公共団体は地域ごとの図書館整備への取組について住民に全ての情報を開示し、「子ども読書活動推進計画」などの策定にあたっては,抽象的な目標ではなく,数値目標を示して住民や保護者等の評価を受けることが望ましい。なぜなら、情報が公開されることによって,住民や保護者等が,地方公共団体の取組に対し,関心を高め,評価し,働き掛けていくことになり,首長や校長などリーダーの「読書に対する意識」を高めることにもつながっていくものであるから、と述べているからである。

 

Copyright© 京葉学舎 | 千葉市花見川区の学習塾 All Rights Reserved.