公立中高一貫校入試問題の特色について

公立中高一貫校の中学入試問題は、他の私立中学校入試問題と異なり、「適性検査」という入試方法を採用しています(もっとも、入学選抜にあたって入学試験をするなという文科省からの歯止めがかかっているためですが、この適性検査が入学試でないというのには疑問もあります)。
適性検査といいますと、有名なPISAの出題内容と言うことになりますが、全国学力テストのB問題も同じ傾向を示しています。そして、県立高校入試や私立中学校入試でも、この傾向は年々増えつつあります。
適性検査問題の特色について

 

一般の入試

一般の入学試験問題、例えば私立中学入試問題は、どちらかといえばカリキュラムに沿った系統だった知識を問うという形をとります。もちろん、設問の内容には偏差値で示される学校の難易度に沿って基本的問題から難問、さらには超難問といわれるものまで大きな幅があります。
したがって、問題の難易度は知識の量とそれを解くスピードとに比例し、知識の量は勉強時間の量に比例し、スピードは問題を何題解いたかの量に比例することに帰着します。

 

適性検査

他方、適性検査問題は「PISA型学力」を目指すものといえます。では、PISA型学力とはどんな学力でしょうか。それは、授業で習ったことそのものではなく、その知識を使って実生活にどれだけ活用できるかの力を問うものです。だから出題分野を「国語」「算数・数学」「理科」ではなく、「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」と呼んでいるわけです(リテラシーとは「活用能力」のことです)。
実は4月から始まった新学習指導要領では、このPISAが求めるようなリテラシー、いわゆる「PISA型学力」の育成を目指していると言っても過言ではありません。

 

読解力とは

「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」である。

 

数学的リテラシーとは

「数学が世界で果たす役割を見つけ、理解し、現在及び将来の個人の生活、職業生活、友人や家族や親族との社会生活、建設的で関心を持った思慮深い市民としての生活において確実な数学的根拠にもとづき判断を行い、数学に携わる能力」である。

 

科学的リテラシーとは

「自然界および人間の活動によって起こる自然界の変化について理解し、意志決定するために、科学的知識を使用し、課題を明確にし、証拠に基づく結論を導きだす能力」である。

 

今後の展望

次の教育課程では、基礎的な知識や技能を習得し、それらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力などの能力を育成し、主体的に学習に取り組む態度が求められます。
そこで、習得・活用・探究の授業をどう展開するかが今後の大きな課題といえます。また、その課題に取り組むことは、授業改善を図ることにつながります