‘03 国語力について’ 一覧

【第三章】[資料B] 【本法案の提案理由】
2004-02-18

文字・活字文化が、人類が長い歴史の中で蓄積してきた知識及び知恵の継承及び向上、豊かな人間性の涵養(かんよう)並びに健全な民主主義の発達に欠くことのできないものであることにかんがみ、知的で心豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与するため、文字・活字文化の振興に関する基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、文字・活字文化の振興に関する必要な事項を定めることにより、我が国における文字・活字文化の振興に関する施策の総合的な推進を図る必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
かんよう 【涵養】 とは?〔「涵」はひたす意〕水が自然にしみこむように、少しずつ養い育てること。

「文字・活字文化振興法の施行に伴う施策の展開」
文字・活字文化振興法に基づき、政治・行政・民間は連携して、次の施策を推進する。

1)地域における文字・活字文化の振興

▽ブックスタートの普及による子育て支援
▽本の読み語り支援、読書アドバイザーの育成
▽移動図書館の普及・拡充
▽作文アドバイザー(著述業、作家等)のネットワーク化による作文活動の奨励
▽読書・絵本のまちづくり活動の支援、小規模書店の個性化、ブックフェア等の支援
▽教育機関の図書館の地域開放
▽未設置市町村における公共図書館の計画的な設置
▽公立図書館設置基準の改革(自治体単位から人口比への改善)
▽公立図書館の学術・研究等専門書の整備・充実
▽公立図書館への専門的な職員・読書アドバイザーの配置の推進

2)学校教育に関する施策

▽読書指導の充実、読書の時間の確保による「言語力」の教育支援
▽教員養成課程への「図書館科」または「読書科」などのの導入による教員の資質の向上
▽学校図書館図書標準の達成、学校図書館図書整備費の交付税措置の充実・予算化
▽小規模校(12学級未満)への司書教諭の配置、学校図書館に関する業務を担当する職員配置の推進
▽司書教諭の担当授業の軽減・専任化の推進
▽高校図書館の充実
▽盲・ろう学校の読書環境の整備
▽新聞を使った教育活動の充実
▽読み書き活動の基盤である国語教育の充実、より豊かな日本語の教育支援
▽学校図書館支援センターによる学校間、公立図書館との連携・推進
▽IT化の推進による学校図書館・公立図書館と国際子ども図書館等のネットワークの推進

3)出版活動への支援

▽文字・活字にかかわる著作物再販制度の維持
★▽版面権の創設(出版者の固有の権利)→削除
▽学術的価値を有する著作物の振興・普及
▽翻訳機会の少ない国々の著作物の翻訳、日本語著作物の翻訳の振興・支援、それに必要な翻訳者の養成
▽世界各地で開催されるブックフェア等国際文化交流の支援
以 上
(注)通常の法律が成立する過程は、内閣などが法案を衆議院か参議院へ提出し、議長が該当する委員会へ付託して先ず委員会での審議が始まる。そこで可決されて本会議へ上程され、ここで可決されれば他院へ送付される。
ところが、いわゆる議員立法といわれる法律が成立するには、ある院に法案が提出されるといきなり本会議で審議ということになるらしい。どういう理由かははっきりとしないが(法制局の担当者に聞いてみたが要領を得なかった)おそらく、超党派という場合が多いのと、議員の集まりが作成した法案なので特別に該当する委員会がないなどの理由からかもしれない。ということ(委員会での審議の省略)は、国民の側からすれば、案文自体も知らされないまま法律が制定されてしまうということになってしまう。これでは一般の国民からの要望や意見は反映されないことになる。
文字・活字文化振興法案の場合、今日現在、まだ衆議院へは提出されていないとのこと(郵政民営化法案がもめている影響らしい)で、衆議院法制局の話では多分議連の手の中にあるだろう、だからその案文については外部に公表できない、とのこと。
というわけで、以上に掲げた「文字・活字文化振興法案」と「文字・活字文化振興法の施行に伴う施策の展開」の条文および中身については、色々な制約からくる不備な側面があることを承知していただきたい。

【第三章】[資料A] 文字・活字文化振興法案
2004-02-17

(目的)

第一条 この法律は、文字・活字文化が、人類が長い歴史の中で蓄積してきた知識及び知恵の継承及び向上、豊かな人間性の涵養(かんよう)並びに健全な民主主義の発達に欠くことのできないものであることにかんがみ、文字・活字文化の振興に関する基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、文字・活字文化の振興に関する必要な事項を定めることにより、我が国における文字・活字文化の振興に関する施策の総合的な推進を図り、もって知的で心豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この法律において「文字・活字文化」とは、活字その他の文字を用いて表現されたもの(以下この条において「文章」という。)を読み、及び書くことを中心として行われる精神的な活動、出版活動その他の文章を人に提供するための活動並びに出版物その他のこれらの活動の文化的所産をいう。

(基本理念)

第三条 文字・活字文化の振興に関する施策の推進は、すべての国民が、その自主性を尊重されつつ、生涯にわたり、地域、学校、家庭その他の様々な場において、居住する地域、身体的な条件その他の要因にかかわらず、等しく豊かな文字・活字文化の恵沢を享受できる環境を整備することを旨として、行われなければならない。
2.文字・活字文化の振興に当たっては、国語が日本文化の基盤であることに十分配慮されなければならない。
3.学校教育においては、すべての国民が文字・活字文化の恵沢を享受することができるようにするため、その教育の課程の全体を通じて、読む力及び書く力並びにこれらの力を基礎とする言語に関する能力(以下「言語力」という。)の涵養(かんよう)に十分配慮されなければならない。

(国の責務)

第四条 国は、前条の基本理念(次条において「基本理念」という。)にのっとり、文字・活字文化の振興に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)

第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、文字・活字文化の振興に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(関係機関等との連携強化)
第六条 国及び地方公共団体は、文字・活字文化の振興に関する施策が円滑に実施されるよう、図書館、教育機関その他の関係機関及び民間団体との連携の強化その他必要な体制の整備に努めるものとする。

(地域における文字・活字文化の振興)

第七条 市町村は、図書館奉仕に対する住民の需要に適切に対応できるようにするため、必要な数の公立図書館を設置し、及び適切に配置するよう努めるものとする。
2.国及び地方公共団体は、公立図書館が住民に対して適切な図書館奉仕を提供することができるよう、司書の充実等の人的体制の整備、図書館資料の充実、情報化の推進等の物的条件の整備その他の公立図書館の運営の改善及び向上のために必要な施策を講ずるものとする。
3.国及び地方公共団体は、大学その他の教育機関が行う図書館の一般公衆への開放、文字・活字文化に係る公開講座の開設その他の地域における文字・活字文化の振興に貢献する活動を促進するため、必要な施策を講ずるよう努めるものする。
4.前三項に定めるもののほか、国及び地方公共団体は、地域における文字・活字文化の振興を図るため、文字・活字文化の振興に資する活動を行う民間団体の支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(学校教育における言語力の涵養(かんよう))

第八条 国及び地方公共団体は、学校教育において言語力の涵養(かんよう)が十分に図られるよう、効果的な手法の普及その他の教育方法の改善のために必要な施策を講ずるとともに、教育職員の養成及び研修の内容の充実その他のその資質の向上のために必要な施策を講ずるものとする。
2 国及び地方公共団体は、学校教育における言語力の涵養(かんよう)に資する環境の整備充実を図るため、司書教諭及び学校図書館に関する業務を担当するその他の職員の充実等の人的体制の整備、学校図書館の図書館資料の充実及び情報化の推進等の物的条件の整備等に関し必要な施策を講ずるものとする。

(文字・活字文化の国際交流)

第九条 国は、できる限り多様な国の文字・活字文化が国民に提供されるようにするとともに我が国の文字・活字文化の海外への発信を促進するため、我が国においてその文化が広く知られていない外国の出版物の日本語への翻訳の支援、日本語の出版物の外国語への翻訳の支援その他の文字・活字文化の国際交流を促進するために必要な施策を講ずるものとする。
(学術的出版物の普及)
第十条 国は、学術的出版物の普及が一般に困難であることにかんがみ、学術研究の成果についての出版の支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(文字・活字文化の日)

第十一条 国民の間に広く文字・活字文化についての関心と理解を深めるようにするため、文字・活字文化の日を設ける。
2.文字・活字文化の日は、十月二十七日とする。
3 国及び地方公共団体は、文字・活字文化の日には、その趣旨にふさわしい行事が実施されるよう努めるものとする。

(財政上の措置等)

第十二条 国及び地方公共団体は、文字・活字文化の振興に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。
附則
この法律は、公布の日から施行する。

【第三章】4.本法案と国語力との関係
2004-02-16

本来ならばこのテーマこそが主たる地位を占めるはずであるが、いまはまだ法律となっていない(2005/06現在)こと、前回で触れた他の法律や答申とひとまとめにして国の国語政策として検討する予定なので、ここでは触れないことにする。
ただ、「国語」が日本文化の基盤であるとか、学校教育においては読む力及び書く力並びにこれらの力を基礎とする言語に関する能力(「言語力」)の涵養に十分配慮されなければならない(第3条2項)とか、国及び地方公共団体は言語力の涵養(かんよう)が十分に図られるよう努めよ(第8条)とか、国語力に直接関わる文言があり、これについて今後検討をしてゆく必要があることを確認しておきたい。

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