まず、現在の学校教育は、活字文化中心に行われています。

ところが、他方では、日常的には、子どもたちは、マンガやテレビといった非活字文化の中に、浸されています。

それゆえでしょうか、読む力の不足している子どもが、目につきます。文章に書かれている中身を、イメージとして想起する訓練ができていないのです。

このような状態ですと、国語はおろか、数学(算数)、英語、その他の科目の理解に、大きな障害になってきます。

なぜなら、読む力は、全ての学力を獲得する前提になるからです。

次に、読むことだけに終わっていては、学力を確実にわがものにすることは、決してできません。

新しく学んだことを、きちんと身につけるには、書くことを絶対に抜かしてはなりません。

読書好きな子は、たいして勉強しなくても、小学校の中学年までは成績は中の上か、上位にいます。しかし書く勉強を怠っていると、しだいに成績は下降していきます。

ことに、中学生で、書く勉強がいいかげんなままの子は、いくら読書力のある子でも、成績は転落の一途をたどっていきます。

書く勉強は、習ったことを確実に学力をして定着させる最も効果的な手段なのです。

書くという仕事は、習った教材をいま一度想起し、それをノートの上に再現し、記憶したとおりに視覚化していきます。手と目の協応作業のくり返しによって、大脳に銘記されていくのです。

読むことによって理解したことを、書くことによって頭に刻み込む — これが最も大事なことなのです。

同時に、書く作業を通じて、集中力と忍耐力と正確性が培われるという、何ものにも替え難い能力が身につくのです。

 

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